Square-zon

ゾンさんが記事を書く

PBLおためし 2CP

 

この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2024 20日目の記事です。

昨日の記事は Nさんの「必見!驚くほど楽ではないクロックが速くなる方法!」でした。
明日の記事は はいれすさんの「4次元ルービックキューブをやろう!」です。

はじめに

こんにちは、ゾンさんです。

Square-1、回してますか?
これはスクエアの上級解法であるPBLをざっくり理解して「おためし」できる記事です。
スクエアを解ける人にできるだけ広く伝わるように、簡単な部分を解説します。
スクエアをまだ解けない人はこちらの記事 Square-1の入り口を読んでみてください。

PBLとは


まず、PBLとは何かについて説明します。

「PBL」という言葉はPermutation of Both Layersの略で、U,D面の両方でPLLを解くパートのことをいいます。
ふつう、PBLパートはコーナーを揃えるCPとエッジを揃えるEPに分けて解きますが、上級解法ではPBLのケース全てを区別して、各ケースに合った解き方を覚えます。

PBLのケースは、パリティがあるものとSkipを除いて全967ケースが存在します。
こう書くと恐ろしく見えますが、実際には上下反転のケースや左右反転のケースを同じ考え方や手順で解くことができ、僕の体感では180ケースほどだと感じます。

もちろん967ケース全てに固有の一手順を対応させて暗記するのは大変なので、一般的には60手順ほどを覚え、そこから2手順を組み合わせてPBLを解く「2alg PBL」が使われています。

2CP PBL

2alg PBLの中でも、CP手順ふたつで解くことができるケースを2CP PBLといいます。


スクランブル: 10/0-3/03/30/0-3/-33/-4-4/30/33/30/01
解法: 0-1/-30/33/0-3/ 4-5/-30/33/0-3/53 (J/J J/J)
のように、CP手順を回してCP手順で揃う形にするという解き方をします。

CP手順

2CP PBLを解くのに使う、CP手順を回せるようになりましょう。
この記事では以下の4つの手順を使います。

J/J


/U'/UD/D'/
/-30/33/0-3/
いちばん使う手順です。
CP手順としては、U,D面ともにヘッドライトを奥に持っていって回します。

N/N


/UD'/U'D/
/3-3/-33/
とても短い手順です。

N/J


/U/U'/U/U'/
/30/-30/30/-30/
長いわりに覚えやすい手順です。
CP手順としては、D面のヘッドライトを左に持っていって回します。

J/N


/D'/D/D'/D/
/0-3/03/0-3/03/
N/Jの上下反転手順です。
CP手順としては、U面のヘッドライトを左に持っていって回します。

U,D面のずれ方

youtu.be


全てのCP手順は、U,D面をどのようにずらして回しても成り立ちます。
例えばJ/Jなら、
(0,0)/-30/33/0-3/ (ずれ無し)
(1,0)/-30/33/0-3/ (U面をずらす)
(0,-1)/-30/33/0-3/ (D面をずらす)
(1,-1)/-30/33/0-3/ (U,D面の両方をずらす)
この全てがJ/Jの手順として使えます。
U,D面のずれ方に応じて保存されるブロックの区切り方が変わり、これによって同じCP手順でも違った影響をU,D面に与えることができます。

PLLとCPの関係

youtu.be

PBLの解き方の前に、PLLの性質を解説します。
2CP PBLは、以下の10種のPLLで構成されます。

T


Tは、ヘッドライトの隣の側面にある、バーとコーナーの境目をスライスの手前側に合わせてJ/Jを回すとJになります。
2か所どちらにJを回してもJになります。
これからは「(決まった部分に) Jを当てると Jになる」ということにします。

U


Uは、揃っている側面を奥に持っていって、対面色の側面が左にあればスライスを左に寄せて、右にあれば右に寄せてJを当てるとJになります。

A


Aは、文章で説明するのが難しいので図を見てください。
一応書いておくと、バーもヘッドライトも無い側面に、隣の側面のバーを保存するずれ方でJを当てるとJになります。
対面色バーとコーナーの境目にJを当てるともいえます。

Y


Yは、バーが無い側面に、隣の側面のバーを保存するようにJを当てるとJになります。
2か所どちらにJを当ててもJになります。

Ga


Gのうち、ヘッドライトが隣接色で、ヘッドライトとバーが隣の側面にあるものを「Ga」と呼ぶことにします。
Gaは、バーを保存するようにNを当てるとJになります。
Nは点対称な交換なので、どんな開始面でもずれ方が正しければJになります。

Go


ヘッドライトが対面色で、ヘッドライトとバーが反対側の側面にあるGを「Go」と呼ぶことにします。
Goは、ヘッドライトの側面に、隣の側面の対面色バーを保存するようにJを当てるとNになります。
ヘッドライトの側面に、反対側の側面のバーが保存されないようなずれ方でJを当てるともいえます。
判断が難しいですが頑張りましょう。

H


Hは、NをあてるとNになります。
どんな向きからでも同じです。

J


Jは、ヘッドライトの隣の側面に、バーを保存するようにJを当てるとJになります。
2か所どちらも同様です。
また、ヘッドライトの側面にJを当てるとNになります。
さらに、Nを当てるとJになります。
そして、当然ですがヘッドライトの反対側の側面にJを当てるとSkipになります。
文章だとややこしいですが動画を見れば直感的で分かりやすいと思います。

N


Nは、バーを保存するようにJを当てるとJになります。
また、Nを当てるとSkipになります。

Skip


Skipは、Jを当てるとJに、Nを当てるとNになります。
当然ですね。

 

U,D面の両方がこれら10種類のPLLで構成されたPBLが、2CP PBLです。

2CP PBLを解こう!

youtu.be

いよいよ、2CP PBLを実際に解いてみましょう。
PBLの解き方をExample Solve形式で解説します。

例1: T/Y


スクランブル: 10/0-3/03/30/0-3/-33/-4-4/30/33/30/01
U面がT、D面がYです。
どちらもJを当てるとJになるPLLなので、まずはJ/Jを当てます。
U,D面それぞれの向きに注意。
J/J: 0-1/-30/33/0-3/
あとは残ったJ/Jを回せば揃います。
J/J: 4-5/-30/33/0-3/53

例2: A/J


スクランブル: 0-1/-30/41/-1-4/41/-1-1/41/52/-33/44/-10
U面がA、D面がJです。
どちらもJを当てるとJになります。
D面の向きを間違ってSkipにしないよう気を付けましょう。
J/J: 40/-30/33/0-3/
J/J: 23/-30/33/0-3/03

例3: Ga/Skip


スクランブル: 10/-1-1/-3-3/03/41/33/33/52/3-3/14/-10
U面がGa、D面がSkipです。
GaにはNを当てたいのでN/Nを回します。Skipは特に何も考えなくてもいい感じになります。
N/N: /3-3/-33/
GaがJに、SkipはNになりました。J/Nを回して揃えましょう。
J/N: -20/0-3/03/0-3/03/26

いかがでしたか?

お疲れ様でした!
このように、U,D面のPLLに合ったCP手順を回してCPに変えてPBLを解くのが2CP PBLです。

いかがでしょうか、2CP PBLを解けるようにはなりましたか?
そうでなくても、なんとなく雰囲気はつかめたでしょうか?
2CP以外のPBLでも、ケースや使う手順が違うだけで基本的には考えることは同じです。
PBLは967ケース存在しますが、工夫次第でとてもおもしろく、効率よく解くことができるパートです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
この記事を読んだ方に「PBLって意外とおもしろそうじゃん」とか「いつか本気でスクエアやってみたいな」とか思っていただけると嬉しいです。